雨が降れば沢蟹先生が出て来る事務所

雨が降ります。
良く降ります。
純朴水が近い陶芸家の奥田大器です。

今年は台風が多いです。
地震も多いです。
地質にしろ気象にしろ
日本は地球の環境が辻褄を合わせる
縁みたいな場所に有ります。
静かに自然が収まる事を願います。

雨が続くとうちの事務所には
沢蟹が出て来ます。
これ昔っから絶対出て来ます。
事務所の中をカサカサ動き回ります。
きっと蟹の通り道にうちの窯が立ったんでしょう。
沢蟹に優先権があるのかも知れません。

唐突に現れます。
そして絶対現れます。
そっとうちの前の溝にお帰り願いました。

人間は自然に勝てないんですよ。
沢蟹一匹の行動を変える事も出来ません。
雨降った日に沢蟹がうちの事務所を
避けて歩かせる事なんて出来ません。

だからといって文明や科学を
手放す事も出来ません。
地球に優しくなんて人間の勘違いです。
地球や自然は人間がどんな事をしようが
関係なく進化していきます。
"地球に優しく"というのは
人間が快適に住める程度に
環境を保ちましょうという事です。

こんな欺瞞がありますか。

と沢蟹先生が僕に語り掛けて来ました。
「あんまり気張るなよ人間諸君、
どっちみっち俺達沢蟹とお前らも一緒やぞ。」
とも言って帰っていきました。

沢蟹先生、
又雨の日ご教授宜しくお願いします。

そんな事も
『ファンタスティックフェスティバルの逆襲』
ではやっていきたいなと思います。


【大器の器Ch】第313話
雨が降ると沢蟹先生が来る。