水琴窟を訪ねる水琴窟陶芸家、
奥田大器です。
今回からこの「水琴窟情報局」では陶製水琴窟作家奥田大器が陶製水琴窟研究のため実際に脚を運び”水音”を聴いた水琴窟を紹介していきたいと思います。
“水琴窟の水音を訪ねる旅”ブログを始めます。
第一回は『比叡山延暦寺』です。
第一回に相応しい霊峰です。
一枚目の写真は根本中堂です。
まずはどのルートで登ったか。
やはりこれ!!
一度は乗ってみたかった坂本ケーブルです。
30分に一本出ています。
余談ですがこの坂本駅舎には
信楽焼の販売コーナーがあります。
ちょっと驚く事が。
写真中央の湯呑は2日前まで
一所懸命窯に詰めていた
うちで作っている緑斑点の湯呑です。
なんとそれが坂本駅舎で販売されていました
!!ありがとう問屋さん!!
この斑点一つ一つ親父と職人さんと
俺で押したんだと思うと
何故か目頭が熱くなってきました…。
あまりにも嬉しかったので
写真をパシャパシャ撮っていると
売り場のお姉さんが
「信楽焼お好きなんですか?良かったらこれをどうぞ」と
信楽狸の八相延喜の説明書きをくれました。
よく存じております。
そうこうするうちに
ケーブルカーがやって来ました。
テンションが上がります。
いざ東塔地域に向けて出発です。
団体のお客さんと一緒に山頂へ。
山の上のケーブル延暦寺駅です。
山頂は湿度は高かったですが
気温はひんやりとしていました。
このまま少し歩いて
まずは根本中堂を目指します。
総本堂を参ってから水琴窟が設置されている
【阿弥陀堂】を目指します。
駅より根本中堂に向かう道からは琵琶湖から
その対岸まで一望出来るはずです・・・。
当日は霧が濃く
写真の様な景色しか見られませんでした。
これは残念でした。
霧の中その荘厳な佇まいには圧倒されます。
中でしっかりとお参りさせて頂きました。
そしてついに阿弥陀堂です。
水琴窟の音色を想像致しますと
胸が高鳴ります。
本当に目的のある旅は楽しいものです。
この階段を登れば阿弥陀堂、
そして水琴窟です。
普段の運動不足が祟り
駅からここまで結構きついです。
おお!!ついに目にする事が出来ました!!
皆さん”音”を聴いていらっしゃる。
感動の瞬間です。
別の角度から一枚。
手前と奥、
二か所に水琴窟が設置されています。
さすが国宝の中の水琴窟、
風格があります。
スペースが広い!
庭師の方も思う存分
腕を揮えたのではないでしょうか。
まずは写真手前の水琴窟から
ご視聴させて頂きました。
この砂利の部分に水を流します。
するとすぐに。
やはりいい音です。
私が陶製水琴窟で目指すべき”癒し”の音です。
ここまでに汗だくだくでしたが
それ故に涼しさを感じました。
そして奥のもう一つの水琴窟へ。
奥に信楽狸が居ます。
矢印の先に水を流すと。
いい!!すごくいい!!
個人的にはこちらの方が好きな”水音”です。
はっきりと反響音に余韻が残っています。
陶製水琴窟ではこの
『余韻』を出すのが難しいのです。
高音(金属音)の反響音の余韻を
どうやって感じて頂くか。
これが陶製水琴窟の製作上のポイントです。
地中に埋める、
反響容器の甕がある程度のサイズがある事。
多分ですがこの二点が
音の余韻のポイントだと思っています。
陶製水琴窟ではなかなか難しい箇所です。
しかし出来ないと言う分けにはいきません。
別の方法でそれらを補っていくだけです。
そして良い水琴窟を実際に観て音を聴く。
水琴窟製作のモチベーションが上がります。
しかし水滴が弾ける音に関しては
私の陶琴も負けていないと思いました。
負け惜しみではありません。
実際に音を聴く事によって
気付くことが沢山あります。
これからの製作の糧にしていきます。
実際に良い本物の音だと
子供もじっと耳を傾けます。
私が作りたい陶製水琴窟の目標です。
阿弥陀堂の横にある東塔です。
次回は是非西塔、
横川まで足を伸ばしたいです。
それにしても霧の濃い日でした。
立派な塔です。
当時の仏教を取り巻く
環境に思いを馳せながら
ゆっくりと観させて頂きました。
帰りも勿論ケーブルカーで、
往復大人1,620円です。
ドライブウェイも
ほぼ同じ値段だったと思います。
坂本駅ではこいつらがお出迎え。
猿に
熊です。
ケーブルの途中に猪もいます。
実際に水琴窟を
訪ねて行った際にはご確認下さい。
僕はシャッターチャンスを逃しました。
阿弥陀堂の水琴窟を聴く為だけでしたら
坂本ケーブルをお勧めします。
しかしそんな人めったにいないと思います。
ケーブルを使って比叡山延暦寺の
全域を回りたいのでしたら
トレッキングに行く位の気持ちと
準備が必要と思います。
東塔地域だけでしたら
この季節Tシャツ短パンで行けると思います。
体重108kgの私は
絞ったら汗が滴る位Tシャツを濡らしました。
全域を無理なく参拝されたいのでしたら
自動車でのドライブウェイ(有料)
をお勧め致します。
空気が乾燥した秋から初冬にかけて
是非もう一度訪れたいと思います。
湿度がたっぷりのこの季節は
Tシャツの替えがいると感じました。
【次回予告】
水琴窟の水音を訪ねる旅(2)は
京都は北白川の瑞厳山圓光寺です。
すばらしいお庭に水琴窟が鎮座しています。
お楽しみに。
【追記】
水琴窟をめぐり
この様な陶製水琴窟を作っています。
陶製水琴窟 陶琴のページ
是非見て下さい。